“催眠”と“催眠術”、催眠そのものに違いがあるわけではありません。 “催眠“とは、心と体の緊張を和らげることにより、人工的に作られた睡眠に似た状態です。わかりやすく言いますと、起きている状態と寝ている状態の間が“催眠状態”です。睡眠(すいみん)と違い、催眠状態においては簡単に暗示を与えることができます。 そして、この催眠状態(変性意識状態またはトランス状態)を起こさせる技術を“催眠術”といいます。また、暗示感性(暗示に反応すること)を促進させ、より暗示に反応しやすくする技術をいいます。 催眠には、“ショー的催眠”(テレビなどで行われている)と、催眠療法(治療目的)があります。 一回限り、面白おかしくスピーディーに格好よく“見せる”のが目的であるショー的催眠に対して、繰り返し継続して心身の緊張(無意識の緊張)をゆっくり緩めて行くことに意味がある催眠療法の催眠は、“治療”が目的になります。また、催眠には他者催眠と自己催眠があることを忘れてはなりません。 ショー的催眠を説明しますと、被験者は“興味、安心、信頼”という三原則を必要とし、術師とのラポール(信頼関係)が成り立たってこそ催眠状態(変性意識状態、トランス状態)へともっていくことが出来ます。術師にもよりますが、他者催眠では、被験性を見るために簡単な被験テストを行い、そして運動支配、感情、感覚支配、健忘、幻覚までもっていければ術師は本望でしょう。 催眠術に関しては、個人差はありますが勉強と経験をつむことにより、数ヶ月でマスターすることも可能です。 催眠療法は、精神療法の一つで心理学と精神医学に基づいた科学的な療法です。 歴史はかなり古く、実際に臨床の場で使用され、研究、応用されてきました。現在では、その特性を利用して神経科、心療内科では自律訓練法、産婦人科では無痛分娩、歯科においては無痛抜歯などにも使用され実績を残しています。 催眠療法においては、“リラックス(くつろぎ)、集中、暗示”の三原則から成り立っております。 治療が目的なため、催眠療法で足りないものは心理療法で補います。 緊張を和らげ、ゆったりとした気持ちを抱き、セラピストに委ねることで、暗示により無意識の物の観方、考え方、受け取り方を変える方向に導き、症状を軽減していく方法です。 催眠は時として奇跡的な効果を現す場合もありますが、万能ではありません。暗示の効果と言うものも個人差はありますがメッキのように剥がれやすいものです。 1回の治療で症状が取れても、再発することもありえます。 よってゆっくり、じっくり治す気持ちでいた方が早く効果が現われます。 相手の気持ちになって行うため、時間もかかるものです。 また、催眠療法に関しては、やはり勉強と経験はもちろんですが、人の心と向き合うことが必要なため、決められたゴールと言うものがなく、セラピストとなっても常に研究を続けることが必要かと思われます。